近年、若手医師の外科離れが問題になっている。特に心臓血管外科においては、以前から日常的な激務が敬遠される要因としてあり、加えてそれに相応する待遇が必ずしも期待できない現実がある。しかし、心臓血管外科を本心から志す研修医の最終決断を阻むものは、この様な業務内容や待遇面以上に、自らのスキルアップのステップとゴールが良くイメージできない環境そのものにあるのではないかと考えられる。これまで外科医の育成は、一般的に学会や研究会などでの座学と自施設における実学の両面で行われてきているが、スキルアップに関わる教育スタッフの専門性に少なからず施設間格差があり、高いレベルでの教育が必ずしも等しく行われて来たとは言い難い。
そこでこの度、日本の心臓血管外科の将来へ向け、医局を超えて不足している指導医の役割を様々な形で担いながら、次世代の優れた心臓外科医の育成とともに、理想的な心臓外科診療の環境整備を目的として当法人を設立した。
近未来に求められる心臓外科診療チームを構築し、構成員の更なる技術向上を目指すことを目的とし、単一的なスキルだけでなく、応用力を備え、リーダーシップを発揮できる外科医を育成すること、心臓外科医のより良い環境を整備することで社会のニーズに貢献していく。